memo凪波

社長に、またすぐ呼び出された。
あの人のマネジメントからは完全に外すとも言ってきた。
宮川さんが、社長に言ったらしい。
私が、あの人に色目を使っていると。
実際は逆なのだけれど。
でも社長は、どちらからだとしても関係がないと言った。
なるべく早めに、あの人の元から離れろと、警告をしてきた。
あの人のマネージャーには、社長お気に入りの男性社員が引き継ぐと言ってきた。
彼は、他にも人気声優を掛け持ちで担当しているから、その判断だけは安心できた。
あの人から離れる。
言葉にするのも簡単。
外に出るためのお金は、社長が用意してやると言った。
退職金代わりだと、社長は言った。
私はあの人の元から去ろうと思えば簡単に去れる状態になってしまった。
意外とあっさりしていると思った。
こういうのが、来るべき時と言うのだろうか。
せめて、いつ去るかは私が決めよう。
それくらいの自由はあってもいいだろう。
あの人は、私がいなくなってもちゃんと仕事をしてくれるだろうか。
それだけが、気がかりだったから、彼に私の夢を、彼の夢であるともう1度認識してもらうようにしよう。
そうすれば私がいなくても彼は追いかけてくれる。
私の夢を。