memo凪波

社長が新しい子だと言って私に紹介してきた宮川さん。
あの人と一緒にマネジメントをするようにと命令がきた。
声も演技もそこそこなのに、社長がこれから推すからと言ってきた。
現役高校生が、魅力だったのかもしれない。
でも、彼女が高校にいるのはあと１年。
その先は、現役大学生とでも売るつもりなのだろうか。
現役大学生はごろごろ転がっている。
この子よりずっと、声に華もあり、演技も魅力的な子達が。
でも社長は、この子を私の手腕で有名にしろと言ってくる。
私と同じように、何の特徴もない宮川さんなんか、私がどんなに必死になっても一流声優になんかなれるはずない。
だって、生まれた星が違いすぎる。
夢を見すぎて汚れるくらいなら、せめてこの子にはこの子なりの道を教えてあげるのが、先輩としての努めなのかもしれない。
願っても届かない星に憧れるより、この地球に転がる石でも、それなりに役に立つこともあるのだと。