memo凪波

別れろ、とは言われなかった。
だけどまさかあんな案が来るなんて思わなかった。
いや、むしろあの案が来る可能性は高かったかもしれない。
だって、私をあの場所から拾ったのも、社長だったのだから。
あの人は女に飢えているだけだろうから、適当に美女を性欲処理に使わせておけばいいと、社長は言った。
私には、この後始末が終わったらあの人の前から消えろと言った。
結局、私たちは社長にとって人間ではなく商品だった。
価値が高いものだけを適正価格以上で売る。
価値を下げる可能性があるものは、徹底的に排除する。
何もなければ、私は高い価値じゃなくても、せいぜい格安品レベルで陳列棚に乗せてもらえただろう。
でも社長にとって、私は一路朔夜という商品を汚すカビのような存在に堕ちたのだろう。
もう、私はどうすればいいのか分からない。
何のために生きていけばいいのだろう。
もう疲れた。
何も考えたくない。