memo凪波

困った。
せっかく受かったのに。
お金が足りない。
あと10万円。
振り込み期限まであと1週間もない。
今から毎日日雇いのバイトをしても10万には届かない。
せめて私がもう20歳を超えていたら、クレジットカードが使えたのに。
もう親を頼ってないのに、どうして大人だと認めてくれないのだろう。
親に簡単に払ってもらえる20歳より、親に頼らずに生活している私の方が、ずっと大人だと思うのに。
きっとああいう子達は
「たった10万くらい」
というノリで親におねだりするのだろう。
親には、家を出てから1ヶ月後に1回だけ電話してみた。
その時、偶然漫喫で親が死んじゃう漫画を見て気になったのだ。
なんで気になってしまったんだろう。
結局電話したところで
「ふざけたことしてないで、早く帰ってきなさい!」
と決めつけられて終わっただけだというのに。
だから私は言ってしまった。
2度と戻らない。
私を探さないで。
私を自由にして。
本心だった。
でも返事を聞くのが怖くて、すぐに電話を切った。
あのときは後悔してない。
今まで我慢していたことを言い切ることができたから。
でも、今とても後悔している。
もし、親とまだ繋がっていたら、私は10万を手にする確率が0.5%でもあったのだから。
それくらい、社会人の親という存在のありがたみがわかるようにはなっていた。
だとしても、もう戻れない。
あの生活だけは、戻りたくない。
10万。
どうしよう。
このチャンス、諦めたくない。
お金を貸してくれるような友達を作っておけばよかったけど、そんな友達、どうやって作ればいいの。
友達の作り方が、私にはわからない。