memo凪波

やった……。
憧れてた養成所に、私は受かった。
応募締め切りギリギリで気づいて、書類を送った。
最初の時は、あっさり書類で落ちた。
でも、今回は違った。
私は、テレビで見たことがある、あの稽古場に呼ばれたのだ。
所属オーディションとして。
そして、今までの全てをぶつけた。
はらわたが煮え繰り返る質問にも、笑顔で耐えた。
嬉しい。
ここは厳しいと聞く。
だからこそ、生ぬるい人はきっといない。
あの子みたいに卑怯な手で上にあがろうとする人はいない。
もう、忘れよう。
あの子のことも。
養成所のことも。
私にはまた、チャンスがやってきたのだから。