memo凪波

あの子に会った。
他の子と一緒に。
家から出られなくなったと泣いていた。
誰も信じられないと叫んでた。
他の子は可哀想にと慰めた。
私も、大変だったね、と言った。
どの口が言ってるんだろう……と内心思ったけど。
あの子は泣いている。
みんなは怒っている。
調べてもらえないのか、と誰かがいった。
私は、誰かが言った一言に、表向き賛同したふりをしながらも内心怯えた。
弁護士に相談をしたが、やめた方がいいと、強く言われたと言っていた。
身内がやった可能性もあるから、と。
そんなことないじゃん、と1人の子が言い、周囲はそれに同調した。
私も、した。
不自然にならないように、周りに合わせた。
ありがとう、とあの子は泣いた。
私は、その言葉に罪悪感をえぐられる。
やらなければよかったと言うことは、結局後になって後悔することが多い。
それでもやってしまったのだから、その責任は取らないといけないのだろう。
でも私には、責任を取る勇気はなかった。
どう逃げ切れるかだけを、必死に考えた。