memo凪波

やっとこの日がきた。
学生という身分じゃなくなった。
嬉しくて仕方がない。
ずっと待ってた。

母親が私を支配する声も、もう聞かなくて良い。
大好きなはずの友達を、妬まなくても良い。
自分が大嫌いな自分と、もう向き合わなくてもいい。
私は、自由になる。
そのために、バイトを頑張った。
何度も怒られて辞めたいと思った。
でも、辞めてあの家にずっと居続けるより、辞めないでお金が貯まる方を選んだ。
熱が出ても咳が苦しくても、薬で無理やり直した。
少しでも多くお金が欲しかったから。
少しでも早く家を出たかったから。

今私は、東京に向かう電車でこれを書いている。
この喜びをいつでも文字で見られるようにすれば、この先辛いことがあっても耐えられると思ったから。

全てをリセットする。
畑野凪波という存在も、18年も。
全部を無かったことにする。
そして今日、新しい私が生まれる。
真っ白で、何者にもなれる。
そんな人生を私は歩きたいと思っていた。
今日から、その夢が叶う。
ワクワクしかない。

東京についたらやらないといけないことを今のうちに整理しよう。
まず、家を探す。
それから仕事を探す。
でもそれよりやりたいのは、声優の事務所に連絡を取ること。
すぐに所属できないのなんて分かりきってるけれど、どんどんアタックしてみる。
早くやりたい。
母親の顔色を伺って、母親の望む人生を歩くより、ずっと意味があることだ。
早く、東京について欲しい。
早く、新しい人生を生きたい。