Side朔夜

童貞という言葉で、簡単に狼狽える男。
だけど、あまりの人の良さ故なのか、この後に及んで僕の事をも気に掛ける。

「なあ……」

海原が、口を開く。

「何だ?」

僕は、淡々と返すしかできない。
感情を乗せると、また……あんな風に心の闇を出してしまうかもしれないから。

「…………いや、何でもない」

何か聞きたそうにしても、言葉を飲み込んでは、僕を救おうと頭を捻る。
どうして、この男は僕とこんなに違うんだ。
僕には、できない。
どうすれば排除できるのか、僕は考えられないから。

「とりあえず、細い棒のものがないか……」

海原が、僕から離れた時だった。
風の音が、した気がした。
それからすぐ、扉が開いた。

男と……目が合う。
人間とは思えない程、機械的に作られた笑みの表情。


山田と名乗る執事。
凪波と僕を苦しめる悠木という男の……忠実なるしもべ。
その手には鍵。Side朔夜

童貞という言葉で、簡単に狼狽える男。
だけど、あまりの人の良さ故なのか、この後に及んで僕の事をも気に掛ける。

「なあ……」

海原が、口を開く。

「何だ?」

僕は、淡々と返すしかできない。
感情を乗せると、また……あんな風に心の闇を出してしまうかもしれないから。

「…………いや、何でもない」

何か聞きたそうにしても、言葉を飲み込んでは、僕を救おうと頭を捻る。
どうして、この男は僕とこんなに違うんだ。
僕には、できない。
どうすれば排除できるのか、僕は考えられないから。

「とりあえず、細い棒のものがないか……」

海原が、僕から離れた時だった。
風の音が、した気がした。
それからすぐ、扉が開いた。

男と……目が合う。
人間とは思えない程、機械的に作られた笑みの表情。


山田と名乗る執事。
凪波と僕を苦しめる悠木という男の……忠実なるしもべ。
その手には鍵。