Side朝陽
俺が頭を下げてからしばらく、一路は何も言わなかった。
その間、俺もどうしていいか分からず、頭を下げっぱなし。
ただ、仕事柄頭を下げるのに慣れていた俺でも、ずっと下を向きっぱなしでいると、首が痛くなってくる。
さすがにもう良いだろう。
そう思って、頭を上げた。
一路と、目が合った。
こんなにしっかりと、一路と目を合わせたのは……知り合ってから初めてな気がする。
それほどまでに、真っ直ぐ、一路の視線を受け止めた。
などと思っていると、一路からいきなり
「……そんな目で、僕を見るな」
と、言われてしまった。
「は?何言って……」
俺は、一路の言葉の真意を聞こうとするが
「ちょ、ま、待て!一路!」
いきなりどうしたって言うんだ!?
一路が、ボロボロと涙をこぼし始めていた。
「な、何だよ!?」
「……何でもない……」
「何でもないわけないだろ!?」
俺は、一路の肩を掴んで揺さぶった。
ここまで来て、まだ何か黙ることがあると言うのか。
「話せ」
俺は、一路に言葉を求めるしかできない。
何故なら俺は……言われないと分からないから。
察することなんか、できやしなかった。
だから、凪波のことに……異変に……ちっとも気づくことができなかった。
死にたいと考えてしまう凪波を、想像すらできなかった。
「話してくれ、一路」
例え、凪波を奪い合う敵だったとしても、こいつの話を全て受け入れない限り……俺はきっとまた、同じ過ちを犯す気がする。
だから俺は、待った。
待ち続けた。
一路の、次の言葉を。
そうしてようやく一路の声が聞けたのは、それからだいぶ時間が経って、窓から朝日が差し込み始めた頃だった。
俺が頭を下げてからしばらく、一路は何も言わなかった。
その間、俺もどうしていいか分からず、頭を下げっぱなし。
ただ、仕事柄頭を下げるのに慣れていた俺でも、ずっと下を向きっぱなしでいると、首が痛くなってくる。
さすがにもう良いだろう。
そう思って、頭を上げた。
一路と、目が合った。
こんなにしっかりと、一路と目を合わせたのは……知り合ってから初めてな気がする。
それほどまでに、真っ直ぐ、一路の視線を受け止めた。
などと思っていると、一路からいきなり
「……そんな目で、僕を見るな」
と、言われてしまった。
「は?何言って……」
俺は、一路の言葉の真意を聞こうとするが
「ちょ、ま、待て!一路!」
いきなりどうしたって言うんだ!?
一路が、ボロボロと涙をこぼし始めていた。
「な、何だよ!?」
「……何でもない……」
「何でもないわけないだろ!?」
俺は、一路の肩を掴んで揺さぶった。
ここまで来て、まだ何か黙ることがあると言うのか。
「話せ」
俺は、一路に言葉を求めるしかできない。
何故なら俺は……言われないと分からないから。
察することなんか、できやしなかった。
だから、凪波のことに……異変に……ちっとも気づくことができなかった。
死にたいと考えてしまう凪波を、想像すらできなかった。
「話してくれ、一路」
例え、凪波を奪い合う敵だったとしても、こいつの話を全て受け入れない限り……俺はきっとまた、同じ過ちを犯す気がする。
だから俺は、待った。
待ち続けた。
一路の、次の言葉を。
そうしてようやく一路の声が聞けたのは、それからだいぶ時間が経って、窓から朝日が差し込み始めた頃だった。