Side朔夜
まずい。
これまでの僕の経験は、この後起こるかもしれないトラブルを
容易に想像させた。
僕は急いでスマホを見る。
電波が入っていない。
「一路様……」
宮川が僕を見上げて
「愛しています。私をあなたの奴隷にしてください」
と言いながら無駄に大きい胸の脂肪を、僕のもも裏に押し付けてくる。
あの世界の女たちが持っている、男を惑わすテクニック。
僕も無理やり仕込まれ、そして使われた。
……気持ち悪い。
「ほら、私ならこうして……」
宮川はここが、夜の個室かどこかだと勘違いしているのか、胸を擦り付けながら
「どう?」
などと言ってくる。
気持ち悪い。
本当に。
僕は宮川の襟元を掴んで、立ち上がらせた。
そしてわざと目線を合わせて
「君に魅力なんかない」
とバッサリ言葉で、斬った。
それから、急いで宮川から手を離して、その場から立ち去った。
気持ち悪い。
早く手を、洗いたい。
どこか、手を洗える場所……。
こんなどろりとしたものに犯された手で、凪波に触れたくない。
早く消毒して、全てを洗い流して、凪波で上書きしてしまいたい。
早く、早く……!
僕の足がどんどん早くなった。
汗が、風に乗って飛び散る。
早く、早く、早く……!
だけど、そんな僕を
「一路様……!!」
宮川は追いかけてきた。
思わず、振り替えさせられた。
そして後悔した。
振り返ったことを。
「一路様」
そこにいた宮川は……女の気色悪さの全てを兼ね備えた妖怪だと、僕は本気で思った。
妖怪は僕にじりじりと近づいて、こう言い放った。
「一路様、安心してくださいね」
「……は?」
「私がちゃんと魅力的な女だと理解できるように、あなたの邪魔をするものは全て、私が排除しますから」
まずい。
これまでの僕の経験は、この後起こるかもしれないトラブルを
容易に想像させた。
僕は急いでスマホを見る。
電波が入っていない。
「一路様……」
宮川が僕を見上げて
「愛しています。私をあなたの奴隷にしてください」
と言いながら無駄に大きい胸の脂肪を、僕のもも裏に押し付けてくる。
あの世界の女たちが持っている、男を惑わすテクニック。
僕も無理やり仕込まれ、そして使われた。
……気持ち悪い。
「ほら、私ならこうして……」
宮川はここが、夜の個室かどこかだと勘違いしているのか、胸を擦り付けながら
「どう?」
などと言ってくる。
気持ち悪い。
本当に。
僕は宮川の襟元を掴んで、立ち上がらせた。
そしてわざと目線を合わせて
「君に魅力なんかない」
とバッサリ言葉で、斬った。
それから、急いで宮川から手を離して、その場から立ち去った。
気持ち悪い。
早く手を、洗いたい。
どこか、手を洗える場所……。
こんなどろりとしたものに犯された手で、凪波に触れたくない。
早く消毒して、全てを洗い流して、凪波で上書きしてしまいたい。
早く、早く……!
僕の足がどんどん早くなった。
汗が、風に乗って飛び散る。
早く、早く、早く……!
だけど、そんな僕を
「一路様……!!」
宮川は追いかけてきた。
思わず、振り替えさせられた。
そして後悔した。
振り返ったことを。
「一路様」
そこにいた宮川は……女の気色悪さの全てを兼ね備えた妖怪だと、僕は本気で思った。
妖怪は僕にじりじりと近づいて、こう言い放った。
「一路様、安心してくださいね」
「……は?」
「私がちゃんと魅力的な女だと理解できるように、あなたの邪魔をするものは全て、私が排除しますから」