Side悠木
コンコンコン。
3度のノックが、彼の合図。
「入れ」
「失礼いたします」
入ってきたのは、どんな時も、常に完璧な仕事をこなす私の執事。
彼にかかれば、どんな情報もすぐに手に入る。
まさに、私に仕えるのに相応しい男。
「どうだ、山田」
「はい。彼らは宮川のりかまでは辿り着いたようです」
「そうか……」
私は、予想通りの答えを聞き、心底安心した。
私の計画が、順調に進んでいるということだから。
「清様。この後はいかがいたしますか」
「そうだな……。計画通り、彼を外に出そう」
「承知いたしました」
「山田」
「はい」
「あちらの方は?」
「全て、順調です」
「……そうか」
「では、私は持ち場に戻ります」
そう言って、立ち去ろうとする山田を、私は呼び止めた。
「山田」
「何でしょう、清様」
「…………止めないのか」
山田は、全てを知っている。
私がこれから何をしようとしているのか。
知っていて、私を止めもしない。
「あなたが、私の言うことを聞いた事が1度でもありますか」
山田は、本当に有能な執事だと思う。
今、1番私が欲しいと思う言葉を、的確に言うから。
「…………ないな…………」
「はい」
山田は、決して余計なことを言わない。
だからこそ、信頼できる。
「山田」
「はい」
「…………彼女の所に」
「かしこまりました」
山田を例の部屋に行かせてから、私は窓の外を見た。
空には月も星もくっきりと見えているが、波は……荒れている。
どんなものでも一瞬で飲み込んでしまう程、激しく。
「……嵐が来るか……?」
これは、ただの自然現象か。
それとも……これから起きる何かの予兆か。
「計画は……必ず進める。どんなことがあっても」
私は、テーブルの上に置いておいたワインをグラスに注ぎ、一気に飲み干した。
コンコンコン。
3度のノックが、彼の合図。
「入れ」
「失礼いたします」
入ってきたのは、どんな時も、常に完璧な仕事をこなす私の執事。
彼にかかれば、どんな情報もすぐに手に入る。
まさに、私に仕えるのに相応しい男。
「どうだ、山田」
「はい。彼らは宮川のりかまでは辿り着いたようです」
「そうか……」
私は、予想通りの答えを聞き、心底安心した。
私の計画が、順調に進んでいるということだから。
「清様。この後はいかがいたしますか」
「そうだな……。計画通り、彼を外に出そう」
「承知いたしました」
「山田」
「はい」
「あちらの方は?」
「全て、順調です」
「……そうか」
「では、私は持ち場に戻ります」
そう言って、立ち去ろうとする山田を、私は呼び止めた。
「山田」
「何でしょう、清様」
「…………止めないのか」
山田は、全てを知っている。
私がこれから何をしようとしているのか。
知っていて、私を止めもしない。
「あなたが、私の言うことを聞いた事が1度でもありますか」
山田は、本当に有能な執事だと思う。
今、1番私が欲しいと思う言葉を、的確に言うから。
「…………ないな…………」
「はい」
山田は、決して余計なことを言わない。
だからこそ、信頼できる。
「山田」
「はい」
「…………彼女の所に」
「かしこまりました」
山田を例の部屋に行かせてから、私は窓の外を見た。
空には月も星もくっきりと見えているが、波は……荒れている。
どんなものでも一瞬で飲み込んでしまう程、激しく。
「……嵐が来るか……?」
これは、ただの自然現象か。
それとも……これから起きる何かの予兆か。
「計画は……必ず進める。どんなことがあっても」
私は、テーブルの上に置いておいたワインをグラスに注ぎ、一気に飲み干した。