Side朔夜
※性的なシーンがあります。
ここを読まなくてもストーリーの繋がりはわかるようにしておきます。
その日の夜、僕は数週間ぶりに凪波を抱くことができた。
いつもは、僕の方から凪波の肌に触れるところから始まる。
愛撫を始め、キスをする。最初は触れるだけのキスを顔から首筋にかけて落としてから、彼女の唇を開かせ、口腔内を貪る深いキスを何度も繰り返す。
それを合図に、凪波も僕も、互いの身につけてるものを脱がせ合い、激しく想いをぶつけ合い、果てる。
どちらかと言えば、僕が攻め、凪波は僕の行為を受け止めるという流れ。
そして終わった後には、凪波はいつもこう言う。
「ありがとう。愛してくれて」
と。
だけど今日は違った。
夕飯を食べ終わってすぐ、行動を移したのは凪波だった。
僕が風呂に入ろうとした時、凪波が一緒に入りたいと言い出した。
「凪波……?」
「……いいかな?」
「……良いの?」
「うん……今日は……したい」
いつもなら、そんなことを言わない。
それどころか、明るいところで自分の裸を見られることを、彼女は徹底的に拒否をしていた。
それなのに。
僕が望んだ事を、彼女はしてくれた。
全て。
僕が欲しかった、僕を欲しがる凪波をこの日、初めて僕にくれた。
愛しているという言葉こそなかったが、熱で、吐息で彼女は僕を愛してくれた。
愛して、そして愛されることを許してくれた。
繋がり、果てて、休む事なくまた共に昇りつめていく。
共にそれができるということが、僕にとってどれだけ幸福なことか、凪波はどれだけ知っているのだろうか。
凪波は、僕と同じ気持ちをいだいてくれているのだろうか。
いつも……不安だった。
凪波は、演技がうまい。
凪波は、こう見せたいという感情を作るのがうまい。
だから、今の凪波は、本物の凪波なんだろうかと、僕は無意識に不安になっていた。
だから僕は、必死に凪波に縋り付いていた。
潤んだ瞳で、僕の見つめる凪波。
僕の身体を、唇を、自分から愛しんでくれる凪波。
僕は、こんな彼女が見たかった。
狂おしい程僕を渇望してくれる、凪波がずっと欲しかった。
僕を求める女の顔は、嫌と言うほど見てきた。
だけど、その女の顔を1つ1つ覚えてはいない。
興味が無かったから。
むしろ見たくなくて、目を逸らしながら事を済ませたこともある。
それが今はどうだろう。
本能のままに僕を欲しがり、ねだってくる凪波に、人間としての欲と、生物としての欲が次々と芽生えてくる。
離れないで。
側にいて。
僕をもっと欲しがって。
僕の……子供を産んで欲しい。
目に涙を浮かべながら、必死に僕を受け入れながら喘ぎ、「もっと、もっと」と繰り返し求めてくれる凪波を見ながら、そんな欲望が自分の中に存在していたことに、気づいてしまった。
こんな凪波を知ってしまって、どうして手放せる?
僕はこの日、ますます凪波に溺れた。
そして願った。
彼女にも、僕と同じように僕に溺れて欲しいと。
※性的なシーンがあります。
ここを読まなくてもストーリーの繋がりはわかるようにしておきます。
その日の夜、僕は数週間ぶりに凪波を抱くことができた。
いつもは、僕の方から凪波の肌に触れるところから始まる。
愛撫を始め、キスをする。最初は触れるだけのキスを顔から首筋にかけて落としてから、彼女の唇を開かせ、口腔内を貪る深いキスを何度も繰り返す。
それを合図に、凪波も僕も、互いの身につけてるものを脱がせ合い、激しく想いをぶつけ合い、果てる。
どちらかと言えば、僕が攻め、凪波は僕の行為を受け止めるという流れ。
そして終わった後には、凪波はいつもこう言う。
「ありがとう。愛してくれて」
と。
だけど今日は違った。
夕飯を食べ終わってすぐ、行動を移したのは凪波だった。
僕が風呂に入ろうとした時、凪波が一緒に入りたいと言い出した。
「凪波……?」
「……いいかな?」
「……良いの?」
「うん……今日は……したい」
いつもなら、そんなことを言わない。
それどころか、明るいところで自分の裸を見られることを、彼女は徹底的に拒否をしていた。
それなのに。
僕が望んだ事を、彼女はしてくれた。
全て。
僕が欲しかった、僕を欲しがる凪波をこの日、初めて僕にくれた。
愛しているという言葉こそなかったが、熱で、吐息で彼女は僕を愛してくれた。
愛して、そして愛されることを許してくれた。
繋がり、果てて、休む事なくまた共に昇りつめていく。
共にそれができるということが、僕にとってどれだけ幸福なことか、凪波はどれだけ知っているのだろうか。
凪波は、僕と同じ気持ちをいだいてくれているのだろうか。
いつも……不安だった。
凪波は、演技がうまい。
凪波は、こう見せたいという感情を作るのがうまい。
だから、今の凪波は、本物の凪波なんだろうかと、僕は無意識に不安になっていた。
だから僕は、必死に凪波に縋り付いていた。
潤んだ瞳で、僕の見つめる凪波。
僕の身体を、唇を、自分から愛しんでくれる凪波。
僕は、こんな彼女が見たかった。
狂おしい程僕を渇望してくれる、凪波がずっと欲しかった。
僕を求める女の顔は、嫌と言うほど見てきた。
だけど、その女の顔を1つ1つ覚えてはいない。
興味が無かったから。
むしろ見たくなくて、目を逸らしながら事を済ませたこともある。
それが今はどうだろう。
本能のままに僕を欲しがり、ねだってくる凪波に、人間としての欲と、生物としての欲が次々と芽生えてくる。
離れないで。
側にいて。
僕をもっと欲しがって。
僕の……子供を産んで欲しい。
目に涙を浮かべながら、必死に僕を受け入れながら喘ぎ、「もっと、もっと」と繰り返し求めてくれる凪波を見ながら、そんな欲望が自分の中に存在していたことに、気づいてしまった。
こんな凪波を知ってしまって、どうして手放せる?
僕はこの日、ますます凪波に溺れた。
そして願った。
彼女にも、僕と同じように僕に溺れて欲しいと。