Side凪波

実鳥はご飯が出てくる度に
「インスタ映えするわ〜」
と言って、スマートフォン……というものを使い、パシャパシャと写真を撮っていた。
私が知らない間にすごい携帯が出てきててこれも驚いた……。
携帯といえば、白黒で、ボタンがあって、音はゲーム機みたいな……あ、でも最近のゲーム機はもCD音源見たいな音が出てたっけ……とにかくちゃっちいぴこぴこした音だった。

朝陽に見せてもらったそれを見た時、携帯テレビかとすら思った。
私がかつて使っていたはずの携帯電話はどこにも見当たらなかったとのことで、朝陽から1台持たされた。
かろうじて……ラインという、スタンプを押すだけで会話ができるというアプリ……?というものと、メールの打ち方、電話の掛け方だけはなんとか教えてもらえて覚えたが、それ以外は機能が多すぎて覚えられる気がしない……。そもそもアプリって何かすら、よくわからない。

「よし、インスタにUPしちゃお……」
「ねえ、実鳥」
「ん?」
「インスタって……何?」
「あー……そうか、海原はインスタとか使わなそうだもんね」

海原というのは、朝陽の苗字……私も、もうすぐその苗字になる……予定。

「ほら、見てみ。インスタっていうのは、こう言うの」

そう言って実鳥が見せたのは……

「何!?この写真!」
「何って、こうやって写真や画像をアップするSNS……掲示板みたいなもの」
「そしたら掲示板にこの写真があがってるってこと!?」
「ご名答」
「やめて、消して。今すぐ」
「えーいいじゃん。どうせ後ろ姿なんだし。誰の写真かなんてわかりゃしないよ」

そこには、先日行った、私のウエディングドレスの試着の様子の写真が出てきた。

「私の写真なんか載せてどうするのよ」
「ドレスの後ろってインスタ映えするのよねーほら、いいねもこんなについてる」

そう言って指さした部分に書かれている数字を見ても、何がいいのかよくわからない。
実鳥は「もう良い?」と言うと、さっとその機械を操作して

「こうやってアップすんのよ」

と、撮ったばかりの料理の写真を載せていた。

「あんたもインスタ覚えなよ。楽しいよ」
「いや………私はちょっと……」

面白そうだとは思うけれど、他に覚えることが多いので、一旦遠慮することにした。

「そういえば聞きたかったんだけど、その指輪ってさ、朝陽が買ってきたの?それとも一緒に買いに行ったの?」
「あ……これは……」