Side悠木
「ここまで、私は想いという部分語ってきた。
この世に存在する人間の数だけ、想いの形が存在するというのは、考えてみれば至極当然のことではあるな。
ん?
責めるような口調だったって?
そう捉えるのは、君たちに心当たりが何かあるからでは、ないか?
私はあくまでも、どう思うか……としか言っていないはずだがな。
さて。
では、もう一つの事例を紹介しよう。
彼女にとって、他人にとって愛と呼ぶものは、全てが自分を閉じ込める鉄のようなものだった。
ある時は鉄格子に。
ある時は重しに。
そしてある時は鎖に形を変え、自由な海への旅路を邪魔をする。
だから、彼女は逃げると決めた時は振り返ることすらしない。
旅路を見送ること暇すら与えてはくれない。
彼女の目には、もう誰も映っていない。
映ることを拒む。
どんなに彼女を愛する者が、自分を見てほしいと懇願したとしても、彼女の耳には届かない。
懇願した者がそのせいで闇に囚われたとしても、彼女にとってはすでに他人事。
いや……違うな。
他の世界の出来事……まるでフィクションのように感じるようになってしまう。
そんな彼女に、君達は同情するかね?
それとも、彼女こそが……。
おっと。
いけない。
もう、お茶の時間になってしまったようだ。
甘い甘い、夢のようなお菓子と、香り豊かな紅茶でもてなそう。
その間、ぜひ、考えたまえ。
畑野凪波という人物を取り戻す努力をこれ以上し続けるのか。
それとも、今度こそ誰にも決して追いつくことも、触れることのできない場所へ、彼女を自由にしてやるのか。
さあ、いきたまえ。
機会は、逃してはならないからね。
何のことかって?
もちろん……美味しいものを手に入れるためのさ」
next memory…
「ここまで、私は想いという部分語ってきた。
この世に存在する人間の数だけ、想いの形が存在するというのは、考えてみれば至極当然のことではあるな。
ん?
責めるような口調だったって?
そう捉えるのは、君たちに心当たりが何かあるからでは、ないか?
私はあくまでも、どう思うか……としか言っていないはずだがな。
さて。
では、もう一つの事例を紹介しよう。
彼女にとって、他人にとって愛と呼ぶものは、全てが自分を閉じ込める鉄のようなものだった。
ある時は鉄格子に。
ある時は重しに。
そしてある時は鎖に形を変え、自由な海への旅路を邪魔をする。
だから、彼女は逃げると決めた時は振り返ることすらしない。
旅路を見送ること暇すら与えてはくれない。
彼女の目には、もう誰も映っていない。
映ることを拒む。
どんなに彼女を愛する者が、自分を見てほしいと懇願したとしても、彼女の耳には届かない。
懇願した者がそのせいで闇に囚われたとしても、彼女にとってはすでに他人事。
いや……違うな。
他の世界の出来事……まるでフィクションのように感じるようになってしまう。
そんな彼女に、君達は同情するかね?
それとも、彼女こそが……。
おっと。
いけない。
もう、お茶の時間になってしまったようだ。
甘い甘い、夢のようなお菓子と、香り豊かな紅茶でもてなそう。
その間、ぜひ、考えたまえ。
畑野凪波という人物を取り戻す努力をこれ以上し続けるのか。
それとも、今度こそ誰にも決して追いつくことも、触れることのできない場所へ、彼女を自由にしてやるのか。
さあ、いきたまえ。
機会は、逃してはならないからね。
何のことかって?
もちろん……美味しいものを手に入れるためのさ」
next memory…