Side悠木

「さて、次にこんな人間についてはどうだろう?

彼女は、少女に対して無邪気な親切を提供していた。

彼女は、少女にとってその親切が正しいものだと信じていた。

少女が、彼女と同じものを好み、笑うことを当たり前であるべきだと思っていた。

だから彼女は、少女が考えていた本当の願いに決して気づくことはできなかった。

少女にとって、彼女の当たり前は決して当たり前ではなかった。

それなのに、その当たり前を当然のように、彼女は少女に押し付けてきた。

少女はいつしか、彼女に対して距離を置くようになったが、彼女はその事実にすら全く気づかず、少女を自分の懐に入れようとした。

まるで、少女が自分以外の当たり前に染まることがないようにと、首輪をさせて監禁させるかのように。

彼女は、自分がしている行為が、そういうものであるということに、一切気付こうともしない。

そして彼女はまた、数年後に再会した少女に対して、無自覚にも同じ過ちを繰り返そうとしている。

……そんな彼女のような存在を、君たちはどう思うかね?」