Side朝陽

初めまして……だと?
なんの冗談だ。
これは、久しぶりの再会だからと言う、渾身のギャグなのか?

「あの……?」

しかし、凪波の表情は、決して冗談を言っているようには見えない。

「凪波!大丈夫なの!?」
おばさんが言うと、凪波は驚いた顔をする。
「……お母さんこそなんで……?」
「え?」
「卒業式の後、親たちの集まりに行ったんじゃ……?」
「な、何を言っているの?凪波?卒業式なんて、そんなのずっと前じゃない!
「え?だって今日、高校の卒業式で……あれ………?」
「ねえ、あなたからも何か言ってやって!」
「ああ……ええと……」
おじさんも混乱をしている。
俺は、とりあえずこの状況を解説してくれる第三者が必要だと思った。

「……看護師さん呼びます」
俺はナースコールを押す。
「ありがとう朝陽くん」
おじさんがそういうと、凪波が俺をじっと見た。そして……
「……朝陽?あなたも朝陽っていうんですか?」
「あなたもって……」
「よくある名前なのかな?私の幼馴染も朝陽って言うんですよ」
とケラケラ笑いながら言った。


……おい、ちょっと待て。
お前、本当に俺がわからないのか?
いくら10年ぶりに会ったからって、10年後の姿くらい想像はつくだろ?

「凪波?朝陽くん。朝陽くんよ」
「嘘でしょ。朝陽はひょろひょろじゃん。コスプレしたって筋肉は嘘つけないよ」
「凪波?だからこの人が朝陽くんなの、ねえ、本当にわからないの?」

おばさんが泣きそうになったその時、病室の扉が開いた。
「どうしましたか?」