Side実鳥
私は、とても焦っていた。
そのホテルのロビーは、とても豪華。
表情では必死に平静を装っているけれど、自分がいかに場違いであるかを感じて、とても居心地が悪く感じていた。
でもそんなことよりもっと怖いのが、両手に抱えている葉の機嫌がとても悪いこと。
駐車場が葉にとっての宝の山だったので、そこから出ようとした途端、イヤイヤを言い出した。
今はどうにか、持ってきたお気に入りのおもちゃを持たせ、大好物のたまごボーロを与えることでギリギリ落ち着かせてはいるが、いつ葉の爆弾が炸裂するかと思うと、気が気でない。
せめて、このロビーはやめてくれ……!
そんなことを考えている間に、海原は早速フロントに聞き込みに行っていた。
こうすればいいのだろう、と自分でイメージしやすいことに対する行動は、抜群に速い。
とはいえ、たまにその行動の速さ故に起こる、周囲への影響の配慮が欠けるのが、彼の欠点かもしれない……。
そしてその欠点を補うのが、部下としての自分の役目だと、腹をくくって仕事をしてきたのだが、時と場合による。
私も早く、凪波に関する情報を仕入れるために行動したい、が。
今の優先順位は、葉だ。
葉の機嫌を少しでも良くしなくては。
どうしようと考えていると、二人組の女性がこちらに向かって歩いてくる。
話に夢中で、ぶつかりそうになっても気づきそうにない。
私がさっと彼女達に道を譲り、彼女達とすれ違ったその時だ。
「ねえ、一路朔夜かっこよかったよね」
「でもすごく急いでたけど、どうしたんだろう」
「ばかー売れっ子なんだから忙しくて当然じゃない!」
彼女達は一路朔夜をここで見ている……!
話を聞きたい。
でも今葉から目を離すと……もしかすると……。
実鳥はちらりと腕の中にいる葉を見る。
うとうとしかけている。
今ならいけるか……!?
「すみませ〜ん」
私は、いきなり話しかけても驚かないような声色と話し方を瞬時に考え、彼女達の前に急いで回り込んだ。
私は、とても焦っていた。
そのホテルのロビーは、とても豪華。
表情では必死に平静を装っているけれど、自分がいかに場違いであるかを感じて、とても居心地が悪く感じていた。
でもそんなことよりもっと怖いのが、両手に抱えている葉の機嫌がとても悪いこと。
駐車場が葉にとっての宝の山だったので、そこから出ようとした途端、イヤイヤを言い出した。
今はどうにか、持ってきたお気に入りのおもちゃを持たせ、大好物のたまごボーロを与えることでギリギリ落ち着かせてはいるが、いつ葉の爆弾が炸裂するかと思うと、気が気でない。
せめて、このロビーはやめてくれ……!
そんなことを考えている間に、海原は早速フロントに聞き込みに行っていた。
こうすればいいのだろう、と自分でイメージしやすいことに対する行動は、抜群に速い。
とはいえ、たまにその行動の速さ故に起こる、周囲への影響の配慮が欠けるのが、彼の欠点かもしれない……。
そしてその欠点を補うのが、部下としての自分の役目だと、腹をくくって仕事をしてきたのだが、時と場合による。
私も早く、凪波に関する情報を仕入れるために行動したい、が。
今の優先順位は、葉だ。
葉の機嫌を少しでも良くしなくては。
どうしようと考えていると、二人組の女性がこちらに向かって歩いてくる。
話に夢中で、ぶつかりそうになっても気づきそうにない。
私がさっと彼女達に道を譲り、彼女達とすれ違ったその時だ。
「ねえ、一路朔夜かっこよかったよね」
「でもすごく急いでたけど、どうしたんだろう」
「ばかー売れっ子なんだから忙しくて当然じゃない!」
彼女達は一路朔夜をここで見ている……!
話を聞きたい。
でも今葉から目を離すと……もしかすると……。
実鳥はちらりと腕の中にいる葉を見る。
うとうとしかけている。
今ならいけるか……!?
「すみませ〜ん」
私は、いきなり話しかけても驚かないような声色と話し方を瞬時に考え、彼女達の前に急いで回り込んだ。