Side朔夜

突然の問いかけ。
あまりに、突飛な。

「それが凪波に関係があるのか」
「君が畑野凪波を知るには、大いに」

凪波を知るため?
知りたくて、知りたくて、でも決して深いところまでは教えてくれない、凪波のことを、僕は知ることができるというのか。

こんな質問で……?

僕は、凪波をちらと見る。
無惨な姿の凪波。
脳をむき出しにされている。

……ふと。
「脳」が目に入る。
待って……。
僕は凪波と……近しいことを話したことはなかったか……?

いつだ。
思い出せ……。
とても、大事な話だったはずだ。
思い出せ、思い出せ思い出せ思い出せ。



「役を生きる」

あ。そうだ。
それは、役……つまり架空とはいえ、人間を生み出すということ。


スタニスラフスキー・システム。


僕と凪波、2人で「人間」について考えたあの明け方、僕は彼女から大事な話を聞いた気がする。
何だった?