Side凪波

私の母親は、私の行動が少しでも自分の理想と違っていれば、すぐ、自分が信じる正しい道へ導こうとする。

一番古い記憶は、ご飯の食べ方で怒られた時。食べる順番も事細かに決められていた。

母が作った世界で、母が作ったルールに従ってさえいれば、母の心は凪ぎ、家は平和を保たれる。

だけど、そのルールを少しでも破ると、一気に荒波が襲いかかる。
そうするたび、私の体にはあざが1つ、2つと増えていく。

皮膚の上には残っていないとしても、私はそのあざの数も大きさも、場所もありありと思い出せる。

女の子はこうあるべきだ、と着る洋服も与えられた。
女の子はこういうものを読むべきだ、と本も自由に選ばせてはくれなかった。
女の子として産んであげたのだから、幸せな結婚をして親を喜ばせろと言われ続けた。

母は私の支配者。
私は母の操り人形。
母の機嫌を損ねてしまえば、すぐに糸を切られて動けなくされる。

それが、私の肉体的な日常。