――────風祭容疑者は銃を所持、一般人を含む計六名に発砲。
――────取り押さえようをした警察にも発砲し、逃亡。
――────現在、十三歳の少年を人質にアパートに立て篭もっています。

 かざまつり……そうた?

 二十六歳……?


――────拳銃にあと何発の弾が残っているのかは不明。
――────警察は人質の安否を気づかいながら、突入の機会をうかがっています。

 アナウンサーの声のあと、その容疑者の顔写真が公開された。
 それは圭の良く知る男、十代の頃、青春時代を共に過ごした先輩であり、尊敬し愛してやまなかった男の顔だった。

「嘘やろ! 蒼太先輩、なんでアンタがそないなコトすんねん! 嘘や!」

 持っていた缶ビールをカーペットの上に叩きつけるようにおき、冷たい液晶画面に向かって大声で怒鳴る。
 叩き付けたはずみで缶ビールは倒れ、カーペットに酒臭い染みを作った。握りしめた拳を震わせながら液晶画面を睨みつける。

『風祭容疑者は覚醒剤をやっているもようで、警察では錯乱状態による犯行と見て、人質になっている少年の安否を気遣うと共に、慎重に様子をうかがっています』

 嘘や……

 静かに、世の中が暗転していく。





 八年前……。


 中学に入ってすぐ、今考えてもよくわからない馬鹿馬鹿しい理由でグレた、まだ十三だった。そしてその時代、一番近くで体温を感じるくらいに肌をよせ合って生きていたのが両親でもなく、友人たちでもなく、五歳年上の先輩、風祭蒼太だ。
 剥がれかけたトタン屋根がガタガタと音を立てて軋むボロアパートの一室に、その男、蒼太はいた。