『ゴメンね、こんな時に傍にいてやれなくて……』
「そんなことないです、旭くんから電話くれたんは初めてやないですか、それだけで感動もんですよ」
『え? そうだったっけ?』
「そうですよ」
圭がそう言ってクスリと笑うと、旭は暫らく黙ってからまた聞いてきた。
『ね、本当に大丈夫? なにか引っかかることがあるんなら言っていいんだよ?』
「旭くん……」
心から自分を心配してくれる旭の思いに感動し、圭の冷えた身体はジンワリと熱を持って来る。こんなに思ってくれている人に隠しておくのもいけないような気がしてきた。
「すんません、実は俺、今考えとったとこでした……」
圭は旭の不思議に甘い問いかけに、今まで思っていた蟠りの端を話し出した。
「もしも、俺が最後まで付いとったら、蒼太先輩はあないにならんかったんやないかと思うて俺、蒼太先輩と離れたらアカンかったんやないかって……」
だがそう話す圭に、旭は意外なほどはっきりとソレを否定した。
『そんなことないと思うよ』
「なんでですか?」
『もし圭くんが蒼太さんについていったとしても、圭くんも一緒に堕ちるだけで、結果は変わらなかったと思う、それよりも蒼太さんは圭くんを連れて行かないことで圭くんに希望を託したんじゃないかな?』
「希望……?」
『うん、圭くんに自由に生きて欲しかったんだと思う、蒼太さんきっと圭くんの歌聴いてくれてたよ、そして遠くから頑張れって応援してくれてたと思う、蒼太さんにとって圭くんは唯一の希望、夢だったんじゃないかな?』
「そうやろか? ホンマにそう思いますか?」
『思うよ、だって俺は蒼太さんに会ったことないけど、圭くんの好きになった人でしょ? 信じて、蒼太さんはそういう人だよ』
「旭くん……」
そうや、その通りやった、蒼太先輩はそういう優しい人やった。
圭は、旭のその言葉に目頭が熱くなるのを感じた。熱い想いが胸に染み渡っていくのがわかる。そして気がつけば滲んできていた涙はとめどなく流れ落ちてゆき、いつか声を出して泣いていた。
蒼太を想い、その優しい男気を思い出し、ただただ泣いていた。
『圭くん……圭くん、大丈夫? ね、泣いてるの?』
「ァ、や旭くん……スンマセン、大丈夫です……ごめんなさい」
圭は携帯の向こうの旭の声にハッとして慌てて答えた。うっかり旭の存在を忘れるところだった自分が信じられない。だが思わず謝る圭に旭は優しく言ってくれた。
『なんで謝るの? いいんだよ泣いて、悲しいときは泣いていいんだ、今日くらいみんな忘れて、蒼太さんのために泣きな、それが自然な感情だよ』
「旭くん」
『ゴメンね、本当なら傍にいてやりたかったんだけどなにもできなくて』
「……」
「そんなことないです、旭くんから電話くれたんは初めてやないですか、それだけで感動もんですよ」
『え? そうだったっけ?』
「そうですよ」
圭がそう言ってクスリと笑うと、旭は暫らく黙ってからまた聞いてきた。
『ね、本当に大丈夫? なにか引っかかることがあるんなら言っていいんだよ?』
「旭くん……」
心から自分を心配してくれる旭の思いに感動し、圭の冷えた身体はジンワリと熱を持って来る。こんなに思ってくれている人に隠しておくのもいけないような気がしてきた。
「すんません、実は俺、今考えとったとこでした……」
圭は旭の不思議に甘い問いかけに、今まで思っていた蟠りの端を話し出した。
「もしも、俺が最後まで付いとったら、蒼太先輩はあないにならんかったんやないかと思うて俺、蒼太先輩と離れたらアカンかったんやないかって……」
だがそう話す圭に、旭は意外なほどはっきりとソレを否定した。
『そんなことないと思うよ』
「なんでですか?」
『もし圭くんが蒼太さんについていったとしても、圭くんも一緒に堕ちるだけで、結果は変わらなかったと思う、それよりも蒼太さんは圭くんを連れて行かないことで圭くんに希望を託したんじゃないかな?』
「希望……?」
『うん、圭くんに自由に生きて欲しかったんだと思う、蒼太さんきっと圭くんの歌聴いてくれてたよ、そして遠くから頑張れって応援してくれてたと思う、蒼太さんにとって圭くんは唯一の希望、夢だったんじゃないかな?』
「そうやろか? ホンマにそう思いますか?」
『思うよ、だって俺は蒼太さんに会ったことないけど、圭くんの好きになった人でしょ? 信じて、蒼太さんはそういう人だよ』
「旭くん……」
そうや、その通りやった、蒼太先輩はそういう優しい人やった。
圭は、旭のその言葉に目頭が熱くなるのを感じた。熱い想いが胸に染み渡っていくのがわかる。そして気がつけば滲んできていた涙はとめどなく流れ落ちてゆき、いつか声を出して泣いていた。
蒼太を想い、その優しい男気を思い出し、ただただ泣いていた。
『圭くん……圭くん、大丈夫? ね、泣いてるの?』
「ァ、や旭くん……スンマセン、大丈夫です……ごめんなさい」
圭は携帯の向こうの旭の声にハッとして慌てて答えた。うっかり旭の存在を忘れるところだった自分が信じられない。だが思わず謝る圭に旭は優しく言ってくれた。
『なんで謝るの? いいんだよ泣いて、悲しいときは泣いていいんだ、今日くらいみんな忘れて、蒼太さんのために泣きな、それが自然な感情だよ』
「旭くん」
『ゴメンね、本当なら傍にいてやりたかったんだけどなにもできなくて』
「……」