公爵が帰った後、イヴはその場で魔法陣を描き、血の入った小瓶を陣の中央に捧げ置いた。魂を呼び寄せるのに最適の日付も、魔力を高めるための儀式も、どうだってよかった。
 魔術の本質は傲慢さだ。ならば、今このときの彼女ほどふさわしいものはいない。
 もう一度あなたに会いたい。
 一秒でも早く会いたい。
 瞳を閉じ、自身の魔力を収束させる。
 理がなんだ、道義がなんだ。そんなものは全て踏みにじってやる。理不尽に奪われたものは不条理に取り返す。因果も時間も何もかも、全て私に頭を垂れろ。私は必ず願いを叶える──!