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「多分大丈夫なオタクって……。ひどい言われようだな」

 オルゴールを見ながら話を聞いていた響生が、顔を上げた。

「間違ったことは言ってないと思うけど」
「クラシックを洋楽だと思ってたさくりも凄いね」
「ああ〜やっぱり響生さんが淹れた紅茶はおいしいなぁ〜」
「ごまかした」

 星型クッキーを口に放り込んださくりに、響生は微苦笑を浮かべる。そして、スマホを操作するとテーブルに置いた。

動画サイトの画面、タイトルには、

――ラヴェル《亡き王女のためのパヴァーヌ》

という文字が。

「聞いたことない? 一回くらいはあるんじゃないか?」

 流れてくるピアノ曲。ケーキにフォークを刺したまま「ん?」とさくりは固まった。

「ある。どこで聞いたかは忘れたけど」
「これが《亡き王女のためのパヴァーヌ》」