「私はまだ学生なのに、歳が近いせいか、親戚から“杏奈ちゃんはまだなの?”攻撃が凄くてさ。参ったわよ」
「親戚のおばさん達って、そういう時、異様な盛り上がりを見せますよね」
「そうそう! 『ブーケ貰ったんでしょ。じゃあほら! 次は、ねぇ〜』とか色々とね。私に歳の離れた彼がいるの知ってるものだから、盛り上がる盛り上がる」
ため息をつく杏奈は、その割にまんざらでもなさそうな顔をした。
素敵な結婚式で花嫁からブーケを貰えば、幸せお裾分け効果のおかげでオバサン攻撃くらいどうでもよくなるものなのかな? と、さくりは考える。
自分の場合だったら『響生さんとかどう⁉』とか聞かれるのか?……なんて想像して、カフェモカを吹き出しそうになった。だから、なんでいちいち響生が出てくるのだ。
「その話をね、彼にしたんだ。だって本当に素敵な式だったの。いわゆる邸宅ウェディングってやつでね。同僚の余興とか見てたら、そのうち私も、友達から沢山呼ばれるのかなぁ、なんて。みんな学生だからまだ先の話だろうけどさ」
「おお。それが『この間の話』なんですか」