運命というものがあるのなら、それは、多数の枝を持つ大樹のような姿をしているに違いない。何かの本で、そんなふうに読んだ。
 本だけじゃなくて、おれは何度も見てきた。毎晩のようにね、いろんな一枝の夢を見てたんだ。破滅した一枝も、未来につながった一枝も、いろいろ。
 だけど、そんな一連の夢は、ある夜パタッとやんでしまった。そのことが、ほかの何よりもハッキリと、おれに悟らせた。
 闘いが終わったんだな、って。