運命というものがあるのなら、それは、多数の枝を持つ大樹のような姿をしているに違いない。何かの本で、そんなふうに読んだ。
 少年は夢想する。
「例えば、ぼくに超能力があって、大切な人を守るために戦う運命だったら?」
 苦しくても、悲しくても、寂しくても、守り抜くことができるだろうか?
 でも、そんなのは子どもっぽいおとぎ話にすぎず、少年の日常は、至って普通に流れている。