進藤が適当に謝り、彩月が進藤の肩を叩いている。

その様子を、結崎さんは冷たい目で見ていた。
まるで、心の中を見透かすような目で、俺は怖いと思ってしまった。

「富谷さん」

結崎さんに呼ばれた彩月は、結崎さんを睨みつける。

いくら嫌いでも、そこまで敵意を剥き出しにしなくてもいいだろう。

「ゲームをしましょう」

獲物を見つけたような表情に、背筋が凍る。

結崎さんは集めたトランプを静かにシャッフルしている。

「な、なんで私が」

彩月も怯んでいる。

「ずる賢い人とのゲームは楽しくなりそうだと思いまして。あと、瀬戸さんともう一度遊びたいです」

だから、どうしてそこまで俺にこだわる?

「結崎さん、俺は?」

仲間外れにされたのが嫌だったのか、進藤が自分を指さしている。

「進藤さんは大丈夫です」

あまりにきっぱりと言うから、面白くて笑いが零れた。

俺は同情の意を込めて、進藤の肩に手を置く。

「拓海くんを仲間外れにするなんて、ひどい」

だけど、彩月は結崎さんに文句を言った。

なんか面白くない。

「そんな。進藤さんは弱いので……面白くないのです」

そんなにはっきり言わなくてもいいだろうに。

「もっと優しく言えないの?」
「いいって、彩月ちゃん。弱いのは事実だから」

進藤が彩月を宥める。
結崎さんになにかを言うことはやめたが、文句を言い足りないという顔をしている。

「……富谷さんは、瀬戸さんとお付き合いしているんですよね?」

結崎さんは不思議そうに首を傾げる。

「そうだけど、なに?悠吾くん、奪う気?」
「いえ……では、進藤さんとはどのような関係ですか?」

質問の意味がわからない。
この人は、何を言っているんだ?

「……友達」

彩月は戸惑いながら答えた。
結崎さんは俺たちをじっくりと眺めている。

「富谷さん、やはりゲームをしましょう。進藤さんも一緒に、もう一度七並べで」

結崎さんはカードを配り始める。

四等分ということは、俺も含まれているということか。

彩月は進藤の隣に座り、俺は結崎さんの隣に座った。

今度は俺が多く七を出したから、俺からのスタートでゲームが始まる。

また文句を言われるのは面倒だから、さっきより真剣にゲームに向き合ってみる。

すると、進藤と彩月がパスと言い始めた。

俺と結崎さんはお互いに手持ちのカードを予想しながら場に出していく。