結崎さんは他人の不幸で生きている

「進藤。どのゲームにするかって」

進藤を呼ぶと、彼女の興味が俺から進藤に移った。

「あなたが私とゲームを?」

進藤は黙って頷く。

緊張しすぎだろ。

しかし彼女は進藤と俺の顔を交互に見る。
そして俺の顔を見て止まった。

「あなたはしてくれないのですか?」
「忙しいので」
「そうですか……残念です。いい顔が見れると思ったのに」

いい顔って、どういう意味だ?

「進藤さん、でしたね。こちらへどうぞ」

進藤は彼女の前の席に案内される。
彼女も椅子に座り、解放されたと思ったのに、今度は彼女が俺を捕まえていた。

彼女は俺を見上げて微笑む。

「ぜひ、見ていってください」

忙しいって言っただろうが。

だが、進藤が助けを求めるような目で俺を見てきたせいで、逃げにくくなった。

俺は進藤の隣に座る。

「私は、結崎幸といいます」
「進藤拓海です」

進藤と会話をしていればいいものを、結崎さんは俺のほうを見た。

「……瀬戸です」

ため息混じりに答えると、結崎さんは満足そうに進藤に視線を戻した。

俺の何がそんなに気に入ったのか、全く理解できない。

「では、進藤さん。どのゲームで遊びますか?」

そう言いながら鞄から出したのはトランプだった。
さっき結崎さんが選択肢として並べたものからして、できるのはポーカーか。

「俺、ポーカーの詳しいルール知らない……」

進藤は恥ずかしそうに俯く。

まあ、普通の大学生が賭け事なんかしないから、無理ない。

「では……三人で、七並べでもしますか」

名案と言わんばかりに俺を見た。

だから、俺を巻き込まないでくれ。

しかし隣からは変わらず助けてくれと心の声が聞こえてきそうなくらい、見つめられる。

「……七並べ、ですか」
「はい!頭脳戦です。お嫌いですか?」

いい笑顔でトランプをシャッフルする。
その手際の良さが、彼女のゲーム回数を物語っているように思える。

無邪気にゲームを楽しみ、負けたくないという子供のような人なのか。

「子供の遊びだなんて、バカにしてはいけません。頭を使ってみると、案外楽しいのです」

トランプが配られると、俺たちは自分の目の前にある手札を見る。

七のカードを机に出す。

「進藤さんが一番多く出されましたので、そこから時計回りにいきましょう」

進藤がカードを出すと、俺の番だ。

こんなことに頭を使う気はない。
さっさと終わらせてやる。