でも、小学校の高学年になるころには、まず周りの雰囲気が変わってきた。男子と女子に分かれて対立したり、誰々ちゃんは誰々くんが好きだとか、あの子とあの子は両想いだとか、無責任に騒いだり。そういうふうにして男女の境目がはっきりしてくるにつれて、私たちもその空気に影響されていった。男女入り交じって仲良く行動というのは、周囲の目もあってなんとなく気恥ずかしくなった。共に行動する時間が減って、徐々に距離が離れていったのだった。
 中学も高校も同じだったけれど、私たちはもう二度と四人で一緒にいることはなくなった。
 それなのに今、彼らは、昔と同じように話をしていた。そのことが私をひどく驚かせ、動悸を激しくさせたのだ。
 もしかして、私以外の三人は、今でも親しくしているのだろうか。私は三人の誰とも、もう何年も、同じ高校に通っている今でさえ、会話どころか視線すら合わせていないのに。
 でも、当然と言えば当然だ。私が通っているのは大学進学を目指す普通科で、彼らはみんな専門科だった。千秋は芸術コース、春乃は家政コース、冬哉は体育コース。
 普通科は朝学習があり、授業の時間編成も専門科とは違って、登校も下校も時間がずれる。それに、普通科のA組からF組までは職員室のある本館、専門科のG、H、I組は特別教室が集まる別館と、教室が分かれていた。出入口も違うため、教室移動などでたまたますれ違いでもしない限り、普通科と専門科の生徒が互いに顔を合わすことはない。
 だから、高校で一緒になってクラスも近い彼らが再び仲良くなり、同じ学校とはいえ学科の違う私だけは接点もないまま、というのは納得できる。
 できるのに、このもやもやとした気持ちはなんだろう。でも、名前をつけてしまったらまっすぐには立っていられなくなるような気がして、私は小さく首を振り、勝手に駆け巡る思考を頭から振り払う。