「じゃあ、こっちに来て。くっついてる方が寒くないと思うの」 「大丈夫でしょうか……」 「変なルカ」 風が吹き、木がざわめく。 私達の不自然な距離感を笑われているような気がしてきた。読もうと思っていた本は、そんな気分になれず開けなくなった。 (あ……。もしかして、書斎に入ったことじゃなく、昨日の夜のことかも……) 懲りずに昨日も『おやすみのキス』をせがんでしまったから――。 いよいよ本気で呆れられた、とか。 (どうしよう……)