促されたことに特に反論無い私は、両手に力を入れ、車椅子の車輪を動かした。

ベッドの側まで行けば、あとはルカが抱き上げてくれる。


「相変わらず、軽くて細い身体ですね。好き嫌いばかりしているからですよ」

「軽いなんて嘘」

「今更そんなことを気にして?」

「……そんなの。気にするわよ。当たり前でしょ」

「お嬢様は些細なことが気になるのですね。私にとっては他愛無いことのように思えますが……」


ルカの微笑みが一層優しさを含んだ。

確かに、細いくせに意外に逞しい腕で軽々と私を運ぶ彼にしてみれば、他愛無いことかもしれないけど。

女の子にとっては、そこは結構重要なポイントなのだ。やっぱり、「あ、重い」なんてコッソリとでも思われたくはないもの。

抱っこやらおんぶやらをせがんでいた子供の頃とは、もう違う。今では十七歳と二十二歳。……色々、考えてしまうのが当然。