あの男は全てを恨んでいた。アッシュベリー家のこと、人形師の才能を持って生まれなかったこと、ドールの回収すら、まともに出来なかったこと。

そして……才能に恵まれた自分の娘のこと。


「もう分かるでしょう? あの方は、お嬢様に呪いをかけたのです。あろうことか、この仮面を眠るお嬢様に被せて」


アリアの瞳が驚きに見開かれた。

自分の娘に呪いをかけた父親。

才能を潰せ。自分よりも苦しませろ。そうだ、いっそのこと殺してしまえばいい。

毎晩毎晩、幼いフェリルに仮面を被せ、あの男は娘と家を呪った。

ルカは“そういうもの”として存在してきた。あの頃のルカに逆らう術はなく、願われるがまま相手を痛めつける。

まずは毎夜の悪夢を。何度も病気で苦しませて。そして、事故で両足を潰した。両足だけでなく、フェリルをかばった従者も奪った。