ルカの安堵のため息が、耳朶を食んだように感じた。これは――妄想?
「お嬢様はお部屋にいらっしゃらないし、アリアはどこかへ逃げているのか呼んでも出てこないし、まさかと思って来てみれば……。少々いたずらが過ぎるのでは? お嬢様」
「ルカ……。は、早かったのね」
アイスブルーの瞳が静かにフェリルを見下ろす。
「ええ。ドールとご主人への挨拶“だけ”でしたから」
「そうだったんだ……」
それはつまり、朝ルカが予想していた通りだったということだ。
《Birthday》ではなかった。そうか……違ったのか――。
「それより、これはどういうことです? 手の届かない場所にあるものは駄目だと、あれほど言いましたよね」
器用なルカは、フェリルと一緒に箱も受け止めていた。