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分厚いカーテンが陽の光を遮っているせいで、書斎は昼も夜も関係ない。
だけど、天気のいい真昼ならば、わずかな隙間から光が入るおかげで、目が慣れれば薄暗くとも本のタイトルだって読める。
広い書斎とはいえ車椅子で動き回るにはコツがいった。いつもはルカが、フェリルの手となり足となり動く。
棚の上のものは、車椅子に座っていたらどんなに手を伸ばしても届かない。
そしてそれを利用しているかのように、フェリルが気になる本や箱は高い場所に置かれている。当然、見たいと言っても「あれはお見せ出来ません」の一言で終わり。
――ルカがブロンドの乙女に会いに行っている今がチャンス。
前から気になっていたあの箱の中を確認出来るかもしれない。
はじめて見つけた時は、箱ではなく本だと思っていた。ケースに入った辞書のような……。
異国の文字が並ぶ分厚い本に挟まれて、ひっそりと、隠れるように。その箱は“そこにいた”。