「なんでもないです。突然すみませんでした。さようなら」
「いえ、こちらこそ……」
わけも分からないままぺこっと頭を下げると、芽依さんはつんとした表情のままマンションの中へ入っていった。
芽依さんは草壁さんのことが大好きという萼さんの言葉を思い出し、私は若干気まずい思いになった。
でもすぐに、『あそこまで敵意むき出しにならなくても⁉︎』という気持ちがふつふつとわいてきた。
でも芽依さんからしたら、私は突然現れたくせに常連客ぶってる女でしかないのかもしれない。
そう思うと、なにも言い返すことができずにその美しい背中を見送ることしかできなかった。
「そ、素朴顔ってなんだー!」
ロビーのドアが閉まる瞬間、私は、半径十五センチ以内でしか聞き取れない声でそう叫んだのだった。
第七話 終
「いえ、こちらこそ……」
わけも分からないままぺこっと頭を下げると、芽依さんはつんとした表情のままマンションの中へ入っていった。
芽依さんは草壁さんのことが大好きという萼さんの言葉を思い出し、私は若干気まずい思いになった。
でもすぐに、『あそこまで敵意むき出しにならなくても⁉︎』という気持ちがふつふつとわいてきた。
でも芽依さんからしたら、私は突然現れたくせに常連客ぶってる女でしかないのかもしれない。
そう思うと、なにも言い返すことができずにその美しい背中を見送ることしかできなかった。
「そ、素朴顔ってなんだー!」
ロビーのドアが閉まる瞬間、私は、半径十五センチ以内でしか聞き取れない声でそう叫んだのだった。
第七話 終