「……あ、葵さんが、男でも女でも、どっちでもなくても、どんな服着てても、中身が葵さんなら、私はあの店で葵さんと会えるのを楽しみに待ってますから。絶対絶対、待ってますからっ……」
泣きながらそう言うと、葵さんは、涙を溜めながら頷いてくれた。
それから、優しく私の肩を抱きよせて、抱きしめる。
「ありがとう、菜乃ちゃん……」
「葵さん……」
「ここで逃げたら、自分を否定することになっちゃうもんね」
その言葉を聞いて、私は葵さんを抱きしめる力を強めた。
……自分が自分らしくいることを、どうして許されないときがあるんだろう。
世界中の誰にも、誰かの人生を否定する権利なんてないのに。
葵さんのような人が、そんな理不尽なことで負かされてしまうなんて、絶対あってはいけないことだ。
「僕、菜乃ちゃんの前では恥ずかしいところばっかり見せてるな……」
「そんなのことないです。ほら、残りのおにぎりも食べましょう!」
「うん、菜乃ちゃんも一緒に食べよう」
私たちは、おにぎりを全部平らげて、お腹いっぱいにしながら少し泣いた。
途中、草壁さんからメッセージが入っていて、なにごとかと思ってアプリを開くと『すまん、白ごまを振り忘れた。』というメッセージが届いていて、ふたりして笑った。
途端に植物レストランが恋しくなって、はやく、葵さんとあの場所へ帰りたいと思った。
ろうそくの光のように、優しくてあたたかい、あの場所へ。
第四話 終
泣きながらそう言うと、葵さんは、涙を溜めながら頷いてくれた。
それから、優しく私の肩を抱きよせて、抱きしめる。
「ありがとう、菜乃ちゃん……」
「葵さん……」
「ここで逃げたら、自分を否定することになっちゃうもんね」
その言葉を聞いて、私は葵さんを抱きしめる力を強めた。
……自分が自分らしくいることを、どうして許されないときがあるんだろう。
世界中の誰にも、誰かの人生を否定する権利なんてないのに。
葵さんのような人が、そんな理不尽なことで負かされてしまうなんて、絶対あってはいけないことだ。
「僕、菜乃ちゃんの前では恥ずかしいところばっかり見せてるな……」
「そんなのことないです。ほら、残りのおにぎりも食べましょう!」
「うん、菜乃ちゃんも一緒に食べよう」
私たちは、おにぎりを全部平らげて、お腹いっぱいにしながら少し泣いた。
途中、草壁さんからメッセージが入っていて、なにごとかと思ってアプリを開くと『すまん、白ごまを振り忘れた。』というメッセージが届いていて、ふたりして笑った。
途端に植物レストランが恋しくなって、はやく、葵さんとあの場所へ帰りたいと思った。
ろうそくの光のように、優しくてあたたかい、あの場所へ。
第四話 終