「花井、ほんと飯のことになると全力だな」
そうこうしているうちにトースターがチンと音を立てて、五分が過ぎたことを知らせてくれた。
焼きあがったおにぎりは、味噌が焦げていてすごくおいしそうだ。
「花井、申し訳ないけど、しそ取ってきてくれるか」
「取ってくる……?」
「裏庭にあるんだよ。ほら、ハサミ」
「なるほど! 行ってきます」
ハサミとざるを受け取って、私は久しぶりに裏庭に入った。
草壁さんと一緒に植えた枝豆もすくすくと育っているようで、なんだか嬉しくなった。
置いてあった長靴を借りて、柔らかい土の上を歩くと、しその葉のゾーンに辿り着いた。
鼻を少し近づけただけで、すごく爽やかな良い香りがする。
しその根元をパチンとハサミで切って、次々ざるに入れていくと、ふと夜風が拭いたので、そのまま隣のマンションの明かりを見上げた。
葵さん、食べてくれるといいな……。
そんなことを思いながら、しそを持って中に戻った。
「草壁さん、無事収穫終えました!」
「おう、ご苦労。軽く水で洗って、水気拭きとってくれるか」
「はいっ、了解です!」
敬礼しながら作業を行い、きれいになったしそを草壁さんに渡す。
草壁さんは熱々のおにぎりに数滴ごま油を垂らしてから、そっとしそで巻いた。
「完成だ、行くか」
「お、美味しそうすぎます……。あったかいうちに届ましょう!」
曲げわっぱの弁当箱に詰められたそれを持って、私と草壁さんは葵さんの元へ向かった。
エレベーターに乗って、葵さんの部屋の前まで辿り着いた。
このマンションに入ったのは初めてだったので、少し緊張してしまう。
草壁さんがこのマンションに住んでいなかったら、ロビーを通ることができなかった。
想像以上に高級なつくりで、このマンションに住めるのは、草壁さんがCTOだからという事実を、改めて認識した。
震えた指を、インターホンの上に添える。
「お、押してもいいですかね」
「はやく押せ」
草壁さんに言われてそっと押した。
がしかし、押したあとなにも反応がない。
しーんと静まり返った部屋の前で、立ち尽くす私と草壁さん。
「どこか出かけてるんですかね。事務所に呼び出されてるとか……」
「なにもメッセージ返ってきてないか?」
言われてすぐにスマホを取り出すと、葵さんからメッセージが返ってきていた。
そうこうしているうちにトースターがチンと音を立てて、五分が過ぎたことを知らせてくれた。
焼きあがったおにぎりは、味噌が焦げていてすごくおいしそうだ。
「花井、申し訳ないけど、しそ取ってきてくれるか」
「取ってくる……?」
「裏庭にあるんだよ。ほら、ハサミ」
「なるほど! 行ってきます」
ハサミとざるを受け取って、私は久しぶりに裏庭に入った。
草壁さんと一緒に植えた枝豆もすくすくと育っているようで、なんだか嬉しくなった。
置いてあった長靴を借りて、柔らかい土の上を歩くと、しその葉のゾーンに辿り着いた。
鼻を少し近づけただけで、すごく爽やかな良い香りがする。
しその根元をパチンとハサミで切って、次々ざるに入れていくと、ふと夜風が拭いたので、そのまま隣のマンションの明かりを見上げた。
葵さん、食べてくれるといいな……。
そんなことを思いながら、しそを持って中に戻った。
「草壁さん、無事収穫終えました!」
「おう、ご苦労。軽く水で洗って、水気拭きとってくれるか」
「はいっ、了解です!」
敬礼しながら作業を行い、きれいになったしそを草壁さんに渡す。
草壁さんは熱々のおにぎりに数滴ごま油を垂らしてから、そっとしそで巻いた。
「完成だ、行くか」
「お、美味しそうすぎます……。あったかいうちに届ましょう!」
曲げわっぱの弁当箱に詰められたそれを持って、私と草壁さんは葵さんの元へ向かった。
エレベーターに乗って、葵さんの部屋の前まで辿り着いた。
このマンションに入ったのは初めてだったので、少し緊張してしまう。
草壁さんがこのマンションに住んでいなかったら、ロビーを通ることができなかった。
想像以上に高級なつくりで、このマンションに住めるのは、草壁さんがCTOだからという事実を、改めて認識した。
震えた指を、インターホンの上に添える。
「お、押してもいいですかね」
「はやく押せ」
草壁さんに言われてそっと押した。
がしかし、押したあとなにも反応がない。
しーんと静まり返った部屋の前で、立ち尽くす私と草壁さん。
「どこか出かけてるんですかね。事務所に呼び出されてるとか……」
「なにもメッセージ返ってきてないか?」
言われてすぐにスマホを取り出すと、葵さんからメッセージが返ってきていた。