またもや語彙のない感想を伝えたが、いつも通り草壁さんは「そうか」と、クールな反応しか返してくれない。
葵さんもガツガツとハンバーグを頬張って、夢中で食べている。
「爽君天才! 生き返る思いだよ……。ここ最近お刺身しか食べてなかったから……」
「栄養も十分あるしな。まあ、葵、あんまり追い詰めすぎるなよ」
「ありがと、これで頑張れるよ」
草壁さんに「花井はこれだけじゃ足りないだろ」と出された付け合わせのパンを頬張りながら、私もうんうんと力強く頷いた。
こんなに頑張り屋で、自分と戦ってきた葵さんの魅力を、もっと色んな人に知ってもらいたい。心からそう思う。
私は葵さんの手をぎゅっと握りしめて、目を見つめて応援した。
「葵さんの写真集、発売日に買いに行きます! 楽しみにしてますね!」
「菜乃ちゃん……ありがとう」
事務所の戦略的に、葵さんの写真集はすべて男性の姿で撮るらしい。
いずれファンに本当の自分のことを伝えたいけれど、どっちの姿も自分には変わりないから、真剣に挑みたいと言う葵さん。
「お腹が空いたらここに来る。応援しててね」
そう言って笑う葵さんの笑顔は、やっぱりかわいくて、こっちまで幸せになる力を持っていると思った。
〇
今日の社食は大盛チャーシュー麺にチャーハンとギョーザで決定だ。
トレーに大量のご飯を乗っけて恐る恐る運んでいると、ちょうど近くのテーブル席が空いた。
長テーブルの端っこに座って、ラーメンのスープがこぼれないようにそっと中華セットを置く。
割り箸をパチンと割って「いただきます」とつぶやいてから、ラーメンを音を立ててすすった。
脂ぎった麺がするすると気持ちいいくらいに喉を通り過ぎていく。
「し、幸せだ……」
思わず声が漏れてしまったのに気づいて、私はすぐに口を手で押さえる。
いつも混んでいて席がゲットできない日が多いけれど、今日はなんてラッキーなんだろう。
そんなことを考えながらギョーザを頬張ると、スマホが通知を受信して震えた。
それは、葵さんのSNSが更新された通知だった。
葵さんの写真集が出ることはネットニュースにも取り上げられ、発売前の反応は上場らしい。
なんだかあのお店で会う葵さんと、今こうしてネットニュースの記事に取り上げられている葵さんが同一人物だとは思えなくて、なんだか変な感じだ。
葵さんもガツガツとハンバーグを頬張って、夢中で食べている。
「爽君天才! 生き返る思いだよ……。ここ最近お刺身しか食べてなかったから……」
「栄養も十分あるしな。まあ、葵、あんまり追い詰めすぎるなよ」
「ありがと、これで頑張れるよ」
草壁さんに「花井はこれだけじゃ足りないだろ」と出された付け合わせのパンを頬張りながら、私もうんうんと力強く頷いた。
こんなに頑張り屋で、自分と戦ってきた葵さんの魅力を、もっと色んな人に知ってもらいたい。心からそう思う。
私は葵さんの手をぎゅっと握りしめて、目を見つめて応援した。
「葵さんの写真集、発売日に買いに行きます! 楽しみにしてますね!」
「菜乃ちゃん……ありがとう」
事務所の戦略的に、葵さんの写真集はすべて男性の姿で撮るらしい。
いずれファンに本当の自分のことを伝えたいけれど、どっちの姿も自分には変わりないから、真剣に挑みたいと言う葵さん。
「お腹が空いたらここに来る。応援しててね」
そう言って笑う葵さんの笑顔は、やっぱりかわいくて、こっちまで幸せになる力を持っていると思った。
〇
今日の社食は大盛チャーシュー麺にチャーハンとギョーザで決定だ。
トレーに大量のご飯を乗っけて恐る恐る運んでいると、ちょうど近くのテーブル席が空いた。
長テーブルの端っこに座って、ラーメンのスープがこぼれないようにそっと中華セットを置く。
割り箸をパチンと割って「いただきます」とつぶやいてから、ラーメンを音を立ててすすった。
脂ぎった麺がするすると気持ちいいくらいに喉を通り過ぎていく。
「し、幸せだ……」
思わず声が漏れてしまったのに気づいて、私はすぐに口を手で押さえる。
いつも混んでいて席がゲットできない日が多いけれど、今日はなんてラッキーなんだろう。
そんなことを考えながらギョーザを頬張ると、スマホが通知を受信して震えた。
それは、葵さんのSNSが更新された通知だった。
葵さんの写真集が出ることはネットニュースにも取り上げられ、発売前の反応は上場らしい。
なんだかあのお店で会う葵さんと、今こうしてネットニュースの記事に取り上げられている葵さんが同一人物だとは思えなくて、なんだか変な感じだ。