「そういえばぁ、システム部の榎本さんから、最近花井さんと草壁さんが仲良いみたいって聞きましたよ」
「えっ、なぜそんな……!」
「えー? 仲良いんですか? ふたりで飲みに行く仲とか? まさかつきあってるんですか?」
怒涛の質問攻めにどう返したらいいか分からず、言葉が出なくなってしまった。
ここで言葉に詰まったら恋仲を肯定しているようなものだ。でも、植物レストランの話をべらべらと周りに話していいものなのか分からない……。
スキャンダルを期待したような、キラキラした瞳で私を見つめてくる桃野さんの視線に耐えられず、私は絞りだすような声で否定した。
「た、たまたまエレベーターで世間話してたところを見られただけで……」
「へぇーどんな話? 草壁さん違う部署だし、無駄話しないタイプの人なのに」
草壁さんとは本当になにもないのに、なんだか動揺させるような質問の仕方だ。
桃野さんは記者にも向いているんじゃないだろうか……。
そんなことを考えていると、祐川さんから「おい、さっきの件まだかー?」と催促がきた。
デスクに座ったままの祐川さんに謝り、私はすぐにパソコンに向きなおる。
桃野さんは「あとでじっくり聞かせてくださいね」と、肩をポンと叩いてきた。
違うのに。ただただ私も草壁さんも〝食〟で繋がってるだけなのに!
ちゃんとした説明もできないまま、私はもやもやした気持ちのまま資料の要点をまとめた。
そして、結局祐川さんに資料を事前に確認してもらうことはできずに、森泉乳業さんへのプレゼンをむかえた。
五日前に完成させてデータで提出していた資料で、何度も確認をお願いしていたのに、一度も見てもらえなかった。
私は、不安な気持ちのまま会議室に入ると、森泉乳業さんにお茶を出した。
「では早速、コラボ案のお話を聞かせてもらえますか」
森泉乳業の企画課のいかにもエリートそうな男性社員、鈴木(スズキ)さんにそう言われ、私は固い表情のまま資料をお渡しする。
すると、鈴木さんの「またこういう案か」というような気配を先に感じとってしまった。
雲行きがあやしいことを感じながらも、私は資料の補足を始める。
「牛乳が嫌いなお子さんにも食べてもらえるようなデザートのレシピコンテストを開催して、その中でなぜ森泉乳業さんの牛乳が素晴らしいのかをアピールできたらと考えておりまして……」
「えっ、なぜそんな……!」
「えー? 仲良いんですか? ふたりで飲みに行く仲とか? まさかつきあってるんですか?」
怒涛の質問攻めにどう返したらいいか分からず、言葉が出なくなってしまった。
ここで言葉に詰まったら恋仲を肯定しているようなものだ。でも、植物レストランの話をべらべらと周りに話していいものなのか分からない……。
スキャンダルを期待したような、キラキラした瞳で私を見つめてくる桃野さんの視線に耐えられず、私は絞りだすような声で否定した。
「た、たまたまエレベーターで世間話してたところを見られただけで……」
「へぇーどんな話? 草壁さん違う部署だし、無駄話しないタイプの人なのに」
草壁さんとは本当になにもないのに、なんだか動揺させるような質問の仕方だ。
桃野さんは記者にも向いているんじゃないだろうか……。
そんなことを考えていると、祐川さんから「おい、さっきの件まだかー?」と催促がきた。
デスクに座ったままの祐川さんに謝り、私はすぐにパソコンに向きなおる。
桃野さんは「あとでじっくり聞かせてくださいね」と、肩をポンと叩いてきた。
違うのに。ただただ私も草壁さんも〝食〟で繋がってるだけなのに!
ちゃんとした説明もできないまま、私はもやもやした気持ちのまま資料の要点をまとめた。
そして、結局祐川さんに資料を事前に確認してもらうことはできずに、森泉乳業さんへのプレゼンをむかえた。
五日前に完成させてデータで提出していた資料で、何度も確認をお願いしていたのに、一度も見てもらえなかった。
私は、不安な気持ちのまま会議室に入ると、森泉乳業さんにお茶を出した。
「では早速、コラボ案のお話を聞かせてもらえますか」
森泉乳業の企画課のいかにもエリートそうな男性社員、鈴木(スズキ)さんにそう言われ、私は固い表情のまま資料をお渡しする。
すると、鈴木さんの「またこういう案か」というような気配を先に感じとってしまった。
雲行きがあやしいことを感じながらも、私は資料の補足を始める。
「牛乳が嫌いなお子さんにも食べてもらえるようなデザートのレシピコンテストを開催して、その中でなぜ森泉乳業さんの牛乳が素晴らしいのかをアピールできたらと考えておりまして……」