聖の顔を見ると、無理をして笑っているのがすぐにでもわかった。
　心配がまた戻ってくるけど、それを口にしたらいけないような気がした。

「えっと……なんで……？」

　すると、聖の笑顔がさらにひきつった。

　……間違えた。

「はは、それをひなたが聞く？　まあいいや。単純に、俺じゃひなたを幸せにできないってわかっただけ」

　そんなことはない。
　そうじゃない。

　逆なのに。
　聖がそう思うことは、何もないのに。

「聖は、優しいもん……ずっと、私の隣にいてくれた。私はそれが、嬉しかった……！」
「その優しい聖君が、ひなたを苦しめてたんだよ」

　私は必要以上に首を横に振る。

「違わないって。俺が焦ってひなたに変なこと言わなかったら、我慢してひなたの友達でいたら、ひなたが泣くほど悩むことも苦しむこともなかっただろ」

　セーターの裾を掴んで、涙が出そうになるのを堪える。
　ここで泣いたら、絶対にいけない。

　だけど、私が泣きそうになっていることに気付いたのか知らないけど、聖は私を抱きしめた。
　私は皺になるってわかってるのに、聖のシャツを握りしめる。
　そしてそのまま顔をうずめる。

「ごめん、聖……ありがとう……」

　聖は何も言わずに私の頭に手を添えた。