その人たちには、どう映っているんだろう。
 私が冬花ちゃんを泣かせているように見えていたりするのかな。

「あの、本当にすみませんでした」

 そんなことを考えているうちに、お母さんは泣きじゃくる冬花ちゃんを連れて、店を出ていった。

 私は席に戻る。

 苦しそう、か……
 やっぱり純粋で敏感な子供にはバレるってことかな……

「小さい子泣かせたっていう悪い奴は、君かな?」

 大きなため息をついたと同時に、誰かが机に手をついた。

「夏希……」
「待たせてごめんね。その溶けきったアイスは食べるの?」

 夏希に言われて、カップの中のアイスを見る。

 塊のようなものはもう見当たらない。
 食べるというより、飲むと言うほうが正しいように思えるような姿になっていた。

「……いや、もういいかな」
「了解」

 夏希はそのカップを持って、他の店員に渡した。

 戻ってきた夏希と、店を出る。

「それで? 話したいことって何?」

 さっき眺めていた歩道をゆっくり歩きながら、夏希が質問してくれる。

「私、今聖と付き合ってることになってるんだけど……でもやっぱり天形のことが好きで……こんな状態で聖と付き合っていくのは嫌だなって思うんだけど、聖と話せなくなるのも嫌だなって……」