「片思いこじらせた男の思考って気持ち悪い」

 ……それはさすがに傷つく。
 俺の心にグサッと刺さった。

「でもまあ、チキンだった聖が自分から告白しただけでも成長したってことで。相手は一途なひなたちゃんですよ。延長戦は覚悟の上でしょ」
「まあな」

 あのひなたの気持ちが簡単に動くとは初めから思っていない。

「なるべく天形のことを思い出させないようにして、俺以外見れないようにしてやる」

 言い終えると同時、もしくは少し先に顔面にクッションが飛んで来た。

「気持ち悪い! 重い! 嫌われてしまえ!」

 夏希はそう叫ぶと、大きな音を立ててドアを閉め、部屋を出て行った。

 一分以内で二回も気持ち悪いと言われてしまった。
 思ったことを言ったにすぎないのに。

 でも……重い、か。
 夏希にはっきり言われるまで、まったくそんな風には思わなかった。

 自覚していなかったけど、夏希の言ったことは正しいのかもしれない。

 片思いをこじらせた奴の思考は気持ち悪い。

 冷静に考えると、自分でもそんな気がしてきた。

「ただでさえ、無理言って付き合ってもらったんだ。あまり変なことをしないように気を付けよう……」

 そのとき、夕飯ができたと呼ばれた。
 俺は部屋着に着替え、部屋を出た。