人目も気にしないで、改めて告白された。
 今度は、昨日とは違ってストレートだ。

 遠くで冷やかしの声が聞こえてくる。

 今この状況で、正しい判断ができる気がしない。

「無理に今、答え出そうとしなくてもいいから。いつまでも待つよ。待つのには慣れてるんだ」

 自虐的な言葉が、想像以上に刺さる。
 聖は私の頭に手を置き、流れるように教室に入っていった。

「付き合うの?」

 自己嫌悪に陥ろうかってタイミングで、後ろから両肩を掴まれた。

「さ、沙奈ちゃん。おはよう……」
「いや、おはようなんだけどね。矢野と。付き合うの?」
「……見てたの?」
「朝っぱらから廊下で告ってたら、嫌でも目に入るよ」

 たしかにそうだ。

 だけど、沙奈ちゃんの質問には答えられなかった。

 中途半端な気持ちで付き合うわけにはいかないと思う反面、断って聖と気まずくなりたくないとも思った。

 こんな自分勝手な答えしか出せない自分が嫌だ。

 でも、断ることを考えてしまうってことは、聖には申しわけないけど、恋愛対象として見てないという……

「私、どこまで聖のこと傷付けるんだろう……」
「付き合わないってこと?」

 思わず口から出てしまったらしく、沙奈ちゃんにそう聞かれてしまった。