「ひなたは夏希が余計なことしたって思ってないんじゃない?」

 私の独り言に反応した沙奈の言葉を嘘だと思ってしまう自分が嫌だ。
 何も知らないくせにと心のどこかで思っている自分がいることが信じられない。

 沙奈からしてみれば、何があったのか気になって仕方ないはずなのに。
 それでも無理やり聞いてくるようなことはしていないのに。

 本当、私はどこまで自分勝手なんだろう。
 自己中なんだろう。

 今も昔も、自分の思う通りに物事を進めようとしてしまうし、相手の気持ちをしっかりと考えることもできない。

「……どうだろ」

 自分の性格が嫌だと思っているのに、追い打ちをかけるようなこの態度。
 ……最低だ。

「夏希だけじゃなくて、私も矢野も、ひなたの中ではひなたの恋愛事情には無関係ってことになってると思う」
「……少なくとも、私は無関係じゃないよ」

 天形に告白させたことも、ひなたに告白を促したのも、私だ。
 二人の恋愛事情に首を突っ込んだ。

 無関係なわけがない。

「まあ友達、ましてや親友なら、それは悲しいけどね」

 沙奈は苦笑する。
 そして私はなぜか、涙が流れた。
 静かに、一粒だけ落ちた。

 沙奈は何も言わず、そっと私の背中に手を当てた。

 私たちはそれ以上話すことなく、そのまま眠りについた。