だけど、そのデートの日を迎えるより先に、天形が別れを告げた。

 突然のことで、ひなたは天形を引き留めることもできなかった。
 そのとき、友達に戻ろうって言われたらしい。

 ひなたはその言葉を信じた。
 天形と、ただの友達に戻るだけだと思っていた。

 でも、現実はそう甘くない。
 カップルが友人関係に戻ることなんてそうそうない。

 二人は完全に関わらなくなってしまった。

 それなのに、ひなたはずっと天形を目で追っていた。
 そんなひなたを見ていられなくて、私は言ってはいけないことを言った。

『両思いなんだから、今度はひなたから告白したら?』

 ひなたはしばらく考えて、手紙を書いた。
 自分で渡す勇気がないって言われて、私が天形に届けた。

 後日返事を聞きに行ったけど、本人に直接言うって言われて、私は黙って見守ることにした。

 だけど、結局その返事はないまま、卒業。

 二人は完全に連絡も取れない状態になってしまった。

「私が余計なお世話したんだよなあ……」

 ひなたのことも、天形のことも一切考えず暴走した結果、二人の関係を悪化させた。

 後悔してもしきれない。

 私が何もしなかったら、二人は友達のままいられたかもしれない。
 天形は自分のタイミングで告白していたかもしれない。

 いかに自分がしたことが最低だったのか、思い知らされる。