「いや……ひなたと家族になりたいっていう、私のわがまま。ひなたには本当に好きな人と結ばれたらって思うんだけど……」

 思いすぎて、失敗したことがある。

 そう続けられなくて、語尾を濁してしまった。

「けど?」

 そのせいで、当然だけど、沙奈に聞き返されてしまった。
 ここでなんでもないと言って、誤魔化すことはできないと思った。

「……中学のとき、ひなたと天形を結びつけようとしたことがあるんだ」

 沙奈は目を見開く。

「ひなた、自分の恋愛に他人に口出されるの嫌って言ってなかった……?」
「そうだけど、ひなたは知らないんだ。私が勝手なことしたって」

 それに関しては、もう後悔しかない。

「……何したの?」
「天形に、ひなたのことどう思ってるか聞いて、両思いってわかったから、告白しろって」

 簡単に言ってしまえばそれだけのことだけど、ひなたと天形にとっては全く違った。

 天形は自分で告白できるようなメンタルを持っていなかった。
 ひなたと天形共通の知り合いに伝言を頼んで、告白するようなくらいに。

 ひなたが返事のタイミングに困っていたら、改めて告白されて、付き合うことになったってひなたは嬉しそうに報告してくれた。

 私はそのとき付き合っていた彼とひなたたちの四人でダブルデートをする予定を立てた。