それから沙奈ちゃんのお母さんに呼ばれるまで、沙奈ちゃんと夏希お互いの学校生活について話した。
 私の話題に触れたら時間が足りないということもあってか、気を使ってくれたように思えたけど、その優しさに黙って甘えた。

 一階に降りてリビングに入ると、沙奈ちゃんのお母さんが料理を運んでいた。

「さーちゃんが急に友達連れてくるって言うから、大したもの作れなかったのよね。お口に合うといいんだけど」

 沙奈ちゃんのお母さんは苦笑しながらそう言うけど、十分に豪華な料理が食卓に並んでいた。
 一番に椅子に座った夏希は目を輝かせて料理を眺めている。

 私は夏希の隣に、沙奈ちゃんは私の前に座った。
 沙奈ちゃんのお母さんは夏希の向かい側に座る。

「それじゃ、いっただきまーす」

 夏希の言葉を合図に、食事が始まる。

「学校での沙奈はどう? 悪いことしてない?」

 お母さんはさっそく質問をしてきた。
 ここの家は無言で食事というルールではないみたいで、少しほっとした。
 無言の食卓は好きじゃないから。

 だけど、質問の内容はどういうことだろう。

「ちょっと、お母さん。変なこと聞かないでよ」
「これでも心配してるんだからね? 沙奈は昔からいたずら好きで、小学校のときなんか、いじめられるって訴える子がいたんだから」