どこでそう勘違いしたのか。
 でも、普通妹って言われたら、年下を思い浮かべるか。

「双子の妹、だよ」

 聖の妹、夏希(なつき)は一言で言ってしまえば明るい。
 誰にでも分け隔てなく接することができる、素直な子。

 それから、双子というだけあって、二人はよく似てる。
 聖が女装したら夏希と見分けつかない気がする。

 そうこうするうちに、アイス屋に到着した。
 本来十分程度で着くところを、二十分くらいかけて来たから、いつもより少し楽しみだ。

「いらっしゃ……ひなただー!」

 店内に入った瞬間、夏希は聖を突き飛ばして私に抱き着いた。

「私の家族になる気持ちはできた?」

 これはここ最近の夏希の挨拶。
 隙あらば言ってくるから、正直耳にたこだったりする。

「夏希、少し落ち着いて。今日は友達もいるし、そもそもバイト中でしょ」
「……仕方ないなあ。いらっしゃいませ、三名様でよろしいですか?」

 夏希はさらっと一人を数えなかった。
 すると、突き飛ばされて夏希の後ろにいた聖が、夏希の頭を叩いた。

「わざと無視するなよ」
「あらいたの、チキン君。注文はワサビ味のアイス?」

 ……仲が悪いわけじゃ、ないんです。

「まあいいや。あちらで注文して、お好きな席にどうぞ」