体育祭が終わって一週間が経った。

 楽しい祭りが終わると、学校全体の雰囲気が重くなる。
 これから先これといった行事もなく、ただ授業を受けてテストを待つのだから、無理もない。

「勉強しなくてもいい頭になりたい……」

 ある日の昼休み、沙奈ちゃんがそんなことを言いながらうなだれていた。

「それは私も一緒だなあ」
「ひなたは頭いいでしょ? 矢野も同じくらい賢いし。その頭脳、ちょっとはわけてほしいよ」

 沙奈ちゃんはパンの袋を乱暴に開ける。

「えっと……何かあったの?」
「英単語テストの追試」

 そういえば夏休みが明けてすぐ、テストを受けて、この前返されたんだ。

「夏休み、勉強しなかったの?」
「夏休みは遊ぶものだと思ってるから」

 はっきり言いますね。
 でも、わからないことはない。

「だいたい、ただでさえ大量な課題があったのに、なんでテスト? 意味ある? 必要ある?」
「ちゃんと身についてるかの確認だよ。諦めて追試受けてこい」

 生徒会の用事が終わって戻ってきた聖が、沙奈ちゃんに冷たく言った。

「矢野ー……そんなこと言ってもいいのー?」

 沙奈ちゃんはスカートのポケットからスマホを取り出した。
 それを見た途端、聖は固まった。