拗ねたような感じで言われて、私はさらに笑ってしまう。
 そして聖に言われた通りに前を向く。

 あっという間にはちまきは巻かれ、私の目の前にいた沙奈ちゃんがどこから取り出したのか、スマホで写真を撮った。

「ひなたちゃん、超可愛い」

 そう言いながら写真を見せてくれたけど、私は正直そう思わない。
 むしろ、普通かな。

「可愛いよね?」

 私が首を傾けたからか、沙奈ちゃんは聖に聞いた。

「うん、可愛い」

 さらっと言われると、照れる。
 聖のほうが見れない。

「子供みたいで」
「ちょっと!」

 聖の余計な一言のおかげで、私はいつも通りに反応できた。
 聖は笑ってるけど、それが妙に安心する。

「そんなこと言うなら外すよ?」
「冗談だよ。似合ってるから」

 何を言っても、もう遅い。
 本心はすでに言ったんだし。

「矢野はそのままなの?」

 何か思いついたのか、沙奈ちゃんがにやりと笑った。

「俺はいいよ」
「遠慮しないで。リボン? 猫耳?」
「なんでその二択なんだよ!」

 沙奈ちゃんはじりじりと聖に迫っていく。

 沙奈ちゃん、すごく楽しそう。

「せめてネクタイにしてくれよ」
「仕方ないなあ。じゃあひなたちゃん、よろしく」